著作権・肖像権に関する
当社のポジション
当社では、AI生成コンテンツの制作や提供にあたり、著作権や肖像権をはじめとする各種権利の保護を重要視しております。下記に、当社におけるAI学習・生成のプロセスやリスク管理体制、さらに関係法令への対応状況についてご説明いたします。
1. 他社モデル・データセットの利用に対する基本的考え方
当社が利用しているAIには、外部企業や団体が構築・公開した学習済モデルやデータセットが一部含まれています。これらについては、提供元のライセンス条件や利用規約を確認し、適法な範囲で使用しております。しかしながら、他社モデルが内部でどのようなデータを学習しているかを当社だけで全面的に検証することは困難(いわゆる“ブラックボックス”)であり、著作権・肖像権への完全な適合性を当社が単独で担保することは、実務上難しい場合がございます。
さらに、著作権や肖像権の侵害を誰でも主張できる仕組みとなっている現在の法制度下においては、万全の保証を提供するのは事実上不可能です。これらの課題は、OpenAI社のChatGPTをはじめとする生成AI技術全般に共通しており、現行の法規制や社会情勢が変化する可能性も鑑み、リスク低減に向けた努力が必須と考えております。
2. 自社構築データセットの適法性確保
当社が独自に構築・運用する学習データセットにつきましては、適法性と倫理性を徹底的に検証したうえで収集を行っています。具体的には:
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適法な収集ソースの限定
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公的に公開されている情報、ライセンス確認済のデータ、著作権保護期間が満了した素材など、使用可能と判断されるソースのみに限定。
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有償サービスやDRM保護コンテンツからの無断取得は除外し、収集の時点でリスクを極力排除しています。
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関連法令や例外規定の考慮
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日本法における著作権法第30条の4(情報解析の例外)や、EU法でのTDM(Text and Data Mining)例外などのAI学習を合法化する枠組みを参照しながら、収集形態やデータ利用形態をチェック。
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これらの例外が当然にすべてのAI学習を正当化するわけではないため、個別の収集元や目的を検証したうえでデータセットを構成しています。
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3. 生成段階におけるリスク管理
(1) 出力物のフィルタリング・レビュー体制
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生成された画像やコンテンツが、特定の著作物やキャラクター、商標を直接的に侵害する表現を含まないよう、プロンプト管理やフィルタリング機能を導入しています。
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必要に応じて担当チームや法務部門によるレビューを実施し、クライアントに納品される最終成果物について権利侵害が疑われる要素を排除するよう努めています。
(2) 万が一の対応フロー
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もし当社が提供または生成したコンテンツについて、権利者または第三者から侵害の申し出があった場合には、速やかに事実関係を調査し、使用停止や差し替えなど適切な措置を講じる体制を整備しています。
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加えて、クライアントにも著作権・肖像権侵害を回避するためのガイドラインや利用条件を提示し、不適切な二次利用等が行われないよう継続的な運用管理を行っています。
4. 肖像権・パブリシティ権への配慮
(1) データセットの構成
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当社が独自に保有するデータセットには、個人が識別可能な写真や許諾を要する肖像が含まれないよう厳密に管理しております。
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パブリシティ権が問題となる素材については、あらかじめ許諾を得る、またはパブリックドメインと確認されたものを使用するなど、最大限の注意を払って運用しています。
(2) 生成アルゴリズムの制御とレビュー
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実在の個人(著名人・一般人いずれも)と誤認されるレベルの類似を防ぐため、生成アルゴリズムの出力を調整・制限する仕組みを導入しています。
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万が一、生成されたコンテンツが特定人物と酷似すると指摘された場合には、ただちに使用停止や修正などの対処を行い、当該個人との権利関係に不備がないよう検証します。
5. 今後の法的動向への対応
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現在、AI技術に関する法解釈や判例は国内外で流動的な状況にあり、今後の法改正や裁判所の判断によって見解が変化する可能性があります。
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当社は常に最新の法令・ガイドライン・判例動向を注視し、社内ルールやシステムを適宜アップデートすることで、適正かつ安全なサービス提供に努めてまいります。
結論:当社のスタンス
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他社モデルとの連携: 当社は他社の学習済モデルやデータセットを活用する際、ライセンス遵守と合法的利用を前提としつつ、ブラックボックス的要素を考慮し、トラブル発生時の迅速対応体制を整備しています。
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自社データセット・生成物のリスク管理: 独自に構築したデータセットの合法性を厳密に確認し、生成段階でも細やかなフィルタリング・レビューを実施することで、著作権・肖像権侵害のリスクを最小化しています。
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法解釈の変化への柔軟な適応: AI分野の法規制や社会情勢を踏まえ、常にアップデートを行いながら、クライアントと利用者の双方に安心なサービスを提供すべく努力してまいります。
今後も、万一の侵害が主張された場合には速やかに事実確認と適切な是正措置を行いつつ、法令・判例の動向を継続的にモニタリングしてまいります。引き続き、安全性と利便性を両立させたAIの利活用に向けて取り組んでまいります。